三文オペラJAPON1947

1947年(昭和22年)。太平洋戦争で敗戦し、焦土と化した東京だが新宿あたりの復興は急速に進み、マーケットが出来た。
そこを支配する、牧村正輝（通り名は匕首マッキー）のグループは天皇の巡幸を控え、大いに忙しい。
一方、焼け出されて家族を失った戦争孤児や復員兵
失業者を組織して、『自由労働者の会』を設立し
勢力を拡大する野原正吉と妻の芳恵には
一人娘の美智子の恋人が気にかかる。
あろうことか、美智子は二人の反対を押し切って
お尋ね者で女ったらしと評判の牧村と結婚してしまう。
娘を取り返すため、二人は、長年の牧村の女
娼館を営む川島明美に牧村を裏切るよう取引を持ちかける。
だが牧村には、戦友で警察署長の鮫島虎雄がいて、書類を改竄。なかなか捕まらない。
天皇巡幸を前に、活気づく街を舞台に、最底辺に暮らす人々は、「人間とは？」「生きるとは？」と激しく問いかける。
牧村の運命は？美智子の純愛は？色と欲。仲間の裏切り。
そして連帯。クルト・ワイルの音楽に乗せた「三文で観れるオペラ」は戦後の混乱期の人間模様を通して、ブレヒトの社会風刺の精神を鮮やかに蘇らせる。