ワンダー・オーヴァー・レインボウ

舞台は関東のとある地方都市。
高校生の結月は学校では最低限浮かないよう過ごしているが、特にやりたいこともなく、深い仲の友達もいない。
女手一つで自分を育ててくれた母も、最近は勤め先のスナックの常連客と上手くいきそうらしく、そのことばかり考えている。
いつものように居場所もなく一人で街をさまよっていた結月は、ある台風の日、雨宿りの為に高架下にあるその店に入る。
そこは「ゲームランドOZ」。古臭いレトロゲームばかりが置いてある時代に取り残されたゲームセンター。
そこに集う常連たちは黙々と画面に相対している。
たまたま訪れたその店で、結月はそのレトロゲームにハマっていく。
シンプルで、キッチュで、でもどこか情熱とワクワクの詰め込まれたその空間と、少し変わっているが気のいい常連たちに、いつしか結月は居心地の良さを覚えていく。
特に同じ頃店に通い始めた「みー」とは意気投合し、仲を深めていく。
一緒にレトロゲームの世界を旅する結月と「みー」。
そこはまるで現実を忘れられるワンダーランドのようだった。
ゲームのキャラクターたちと冒険をし、笑いあう日々。だが、夢の時間には終わりが来る。
経営不振の為、年内をもって「ゲームランドOZ」の閉店が決まってしまう。
居場所を失うことになり戸惑う結月とOZの常連たち。そしてある事件が……。
終わる夢の世界の最後に、結月は何を残すのか。
GAIA_crew原点回帰の16作目は、おとぎ話のおしまいと、終わらなかった世界のおはなし。