GREEN FESTA2025　優秀賞受賞！

元特攻隊員の露木一郎は「橘旅館」の大女将、ゆきえが危篤との知らせを受け、九州に行きたいと申し出る。
高齢の一郎の体を気遣い｢一人ではやれない！｣と反対する家族。
意外なことに同行を申し出たのは、定職に付かず家族の「厄介者」となっていた孫の翔だった。
かつて「特攻隊員」として青春をすごした鹿屋の地に立つ一郎
昔の面影のままの「橘旅館」…走馬灯のように当時の記憶がよみがえる。
若い隊員たちの「母親代わり」であった女将さんのこと、マドンナだった娘のゆきえさん、
仲の良かった隊員の山本や片岡たちのこと…
初めて聞く祖父の「青春」…それは孫の翔の心にも大きな変化をもたらすことになる。
愛する人を守り、国を守るため、多くの若者が大空に飛び立ち、散った。
先人たちが全身全霊をかけて築いた平和の尊さが人々の心から薄れて行くいま、
ふたたび平和の意味を後世に語り継ぎたい。