「匠乱史 -shoranshi-」

両親は目の前で賊に殺された。
賊の手には、切れ味の悪い"なまくら"刀。
それは二人の命を奪うまでに酷く時間をかけた――

それから数年。
男は実直に日々を過ごし、そろばんを弾く。
無聊な独り身だが、それを気にする様子もない。
ただ、静かに生きていた。

ある日のことだった。
男は、大店への手入れ現場に遭遇してしまう。
人が斬られ、悲鳴と怒号が飛び交う。
必死に身を隠し、辺りをうかがったその時……

男は、あるものに眼を奪われた。

他者をいとも容易く斬り伏せる。
気付く暇すら与えず、命を奪っていく。

その刀に、心を奪われた。

何者でもなかった男は、我が子の如き刀を産んでは育てる父になった。
幾度も、幾度も。
自らの手で生み出した子らが、いつか大成する日を夢見ながら。

これは刀と生きた男が、"匠"への道を往く物語。

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2015年より上演を重ねている「wordless×殺陣芝居」シリーズ。
劇中に台詞が一切存在せず、言葉の代わりに俳優の表情・視線・一挙手一投足によって物語を紡ぐ。

殺陣を動作的表現のひとつとして捉えるのではなく、物語をより深めるための感情表現の手法としてみなすことで実現する、
"殺陣"が主役の60分間。
十人十色の観劇体験を、とくとご堪能ください。